酒一筋  醸句通信    第八四号
今回のコンテンツ   1.酒のウソホント   2.毎回楽しい「百人一酒」   3.おいしい話 ◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆  醸句通信  No.84   2009.6 ◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆  天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」 の米を守り育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと 美味しくお酒を飲んで頂くために楽しいお酒のお話を お送り致します。  このメルマガが、ほんの少しでもあなたのお酒の楽し さにプラスになればと思っております。                         利守酒造株式会社 【ダボ】だぼ  木樽には側面下部にお酒の出し 口があります。この出し口の穴に 打ち込まれている詰をダボと言い ます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.酒のウソホント    ▽ もしも酵母菌がなかったら ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  お酒は微生物がつくるものです。 麹菌と酵母菌の二種の微生物がうまく働いて、 ご飯をお酒に変えてくれるのです。 その酵母菌は? いま、酒蔵で酒造りに使用している酵母菌は、 専門の研究所で純粋培養されたものか、それぞれ の酒蔵で選抜され、培養されたモノが使われてい ます。  このように、自然界にある酵母の中から選抜し たものを培養し、それを酒造りに使用するように なったのは明治後期のことなのです。 では、それ以前はどうしていたのでしょうか。 文明開化で顕微鏡が輸入されるまで、酒造りは酵 母菌がアルコールを生産するのだということはわ かりませんでした。酵母菌の存在そのものの認識 がなかったのです。 それでも、「何か」がご飯をお酒にするのだとい うことを、当時の人は知っていたのでしょうね。 その魔法のような作用をさせるには、正しい手順 で段取りを進めればいいと考えたようです。  そして、自然界に存在している酵母をうまく捕 らえ込み、それだけを育て、そして酒をつくる方 法を確立していきました。  まず、小さい仕込みの「モト」を造りました。 これがうまく育つと、これにご飯と麹と水を加え たのです。初めから原料のすべてを仕込んで失敗 するのを怖れたのです。  その方法として、今に伝えられる技法は、「菩 提モト法」、「生もと法」、「生もと山卸作業廃 止法」などがあります。そしてそれらのいい特徴 は、現代の酒造りにも生かされているのです。 もっと身近にも酵母は使われています。 酒粕は実は酵母のかたまりみたいなもの、パンは 酵母の出す炭酸ガスで膨らんだものなのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.小倉あん子の「百人一酒」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)   長らへばまたこの頃やしのばれむ    憂しと見し世ぞ今は恋しき 《解釈》  過去の苦しみも、長い間を挟む、 つまり時が流れれば、楽しく思い出 されるという意味を歌っています。 でも、それは本当でしょうか。 清輔の昔の想いでは、恋の記憶なの でしょうか?あのときの傷心も時間 が過ぎてしまえば甘い思い出に代わ ったというのでしょうか。  ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■   長けれど まだ今日ごろは搾られぬ     うんと熟成させる吟醸   《解釈》  酒づくりの難しさを詠ったもので す。量産する酒の造り方は、もろみ を出来るだけ早く沸かして(発酵) アルコールをたくさん出させます。 どうしても味は粗くなります。 この方法だと確実に酒を造れるので す。 一方、吟醸仕込みのもろみは、短い ものに比べると二倍、三倍の日数を 掛けてゆっくり発酵させます。 だから味にきめ細かさがでるのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.おいしい話 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  チーズと日本酒の美味しい関係をお楽しみ下さい!    チーズの名前にはよく地名がつけられています。 今回紹介する「ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ」 もその通りで、ロッカヴェラーノ」は北イタリアにある 町の名前です。 ロビオラとは赤いという意味。 かつては熟成が増していくと、チーズの外皮がルビー色 の赤みを帯びてくるところから、そう呼ばれていたよう です。 しかし今はそのような熟成状態に、お目にかかる事はま ずないでしょう。このチーズの原料乳は山羊乳または羊 乳で、季節により牛乳を混ぜることが許されています。 しかし50%以上は山羊乳を使用しなくてはなりません。 これはDOPという制度で守られているからなのです。 このDOPという制度はイタリアの伝統的特産物を保護、 保証するという国が公布した食品法で、チーズの他ワイ ンやオリーウ゛オイル、生ハムなどがあります。 チーズの場合、原料乳以外に産地、熟成期間、形、重量 等など規定があるわけです。 このチーズは円盤形で約250グラム。 真っ白な姿は美しくフレッシュなミルクの香り、優しい 酸味がすがすがしい味わいです。 熟成が進んで黄色みがかってくると、水分が飛んで身は ひきしまり、濃くなったミルクがまた魅力的です。 熟成に応じて、吟醸の生酒、純米無ろ過原酒。米の旨味、 甘味を感じるものとよく交じりあいます。 暑くなってきた時期に心地よい、冷やした日本酒とご一 緒に・・・この上ない幸せの時でしょう。  D&F テイスティー アドバイザー 粂田 康子 ———————————— 【チーズのお問合せ】 株式会社フェルミエ Fromagerie Fermier 【本店】 東京都港区愛宕1-5-3   愛宕ASビル1階 http://www.fermier.fm/ ##########################################  米作りのシーズンがやって来ました! 6月6日は「田植祭」、ご参加者の皆さんオマチ しております。 田植の準備のための一つ”草刈り””用水路 の溝掃除”も完了、と言っても草刈りはこれ から収穫まで何度も行わなければいけない作 業ではありますが。 「田の草取り」「畔の草刈り」は常時募集中 です!「草刈祭」というのがあっても・・・ (冗談ですが) 農作業の後は、冷たく冷やした日本酒でお疲 れ様と行きたいですね。 冷やし忘れたらロックというのも風流かもし れません。 ◆醸句通信(日々の出来事を不定期に随時更新中)    https://sakehitosuji.co.jp/report/ ◆蔵元情報(イベント等のご案内を随時掲載中)    https://sakehitosuji.co.jp/brewery/ ※一部のコンテンツは携帯電話からもご覧いただけます! (アドレスは同じで https://sakehitosuji.co.jp )  皆さんからのコメント、トラックバックお待ちしております。 … … … … … … … … … … … … …  また、みなさんのお酒にかかわる情報、それ以外 のものでも結構ですからどしどしご返事・お便りを ください。 「これはおもしろかった」「こんな事が知りたい」・・ あの人にも送ってほしいなどのご要望がございましたら お知らせ下さい。  また、このメルマガがご迷惑になるようでしたらご 一報ください。早速、宛先リストから削除いたします。 ご迷惑をお掛けしている方々にはお詫び申しげます。                          利守酒造株式会社                                        編集担当・明日香