酒一筋・醸句通信    第二一号
今回のコンテンツ   1.酒のウソホント   2.泡(あわ)   3.おいしくお酒の飲める店▼ 「十和田」    4.毎回楽しい「百人一酒」 ◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━ ◆  醸句通信  No.21   2004.3 ◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆  天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」の米を守り 育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと美味しくお酒を飲んで 頂くために楽しいお酒のお話をお送り致します。  このメルマガが、ほんのすこしでもあなたのお酒の楽しさに プラスになればと思っております。                         利守酒造株式会社 【もやし】  もやし炒めの「もやし」じゃない ですよ!  日本酒造りで用いる麹は、蒸した米 に麹カビを大量にはやしたものです。 麹を造る時に麹カビを培養し、乾燥 させたものを蒸米に種として加える 事から種麹と呼ばれます。 酒造業界では、この種麹を「もやし」 とも呼びます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.酒のウソホント ▽ 杜氏の好きな花 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  酒づくりの職人である杜氏さんは、どんな花が好きか と言う質問に、サクラの花が好きというのが一番でした。  なぜでしょうか? 「そりゃ、日本酒は日本を代表する酒。サクラは日本を 代表する花。酒造りの杜氏さんは日本を愛しているから サクラを選ぶんだ」と思うのは、人情を知らない人の言葉 です。それにはもっと人間的な理由があるのです。 サクラとともに、その年の酒づくりの終わりがやってくる からです。酒造りは、稲の刈り入れが終わって一段落 した農家の人たちが、遠く離れた酒蔵へ酒造りに出か けるのです。酒造りの期間にはお正月がありますが、 みんなが休む間も、酒造りの作業は休めないのです。  寒い季節が過ぎ、一日ごとに春の足音が近づいて きます。2月の下旬になると、真っ先に始まった工程 から終わりになってきます。 「忙しさも峠を越えたなぁ」と、僅かにできた暇を実感出来 るようになると、季節の変わり目にも気が付きます。 この頃になると、人々は「花のたより」を話題にします。 花とはサクラです。「サクラ前線はどこまで来ました」と テレビやラジオも報じます。 サクラのたよりは、杜氏さんにとっては、なつかしい故郷 に帰る日を数えるようなものです。 杜氏さんは、はたしてどこでサクラを見るのでしょうか。 勤め先の酒蔵と、生まれ故郷ではどちらが先にサクラが 咲くのでしょう。人によっては、両方で花を楽しむことも あるでしょうし、どちらも見れない人もいるでしょう。 帰郷の道すがらがサクラの道ということもあるでしょう。 杜氏さんのサクラは、季節の時計なのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.泡(あわ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    泡と言ってもシャボン玉(石鹸)の泡ではありません。 もろみの入ったタンクを覗くとみえる泡の事です。 清酒酵母は、醗酵をはじめるともろみの中の糖分をアルコール と炭酸ガスに分解します。これによりもろみの中に多数の 炭酸ガスの泡が発生します。 (醗酵中のタンクを覗くと鼻にツーンとくるのが炭酸ガスです) 醗酵の進行とともに泡の形状も変化していきます。醗酵段階 を確かめるひとつの目安にもなる大事なものです。 「筋泡(すじあわ)」「水泡(みずあわ)」「岩泡(いわあわ)」 「高泡(たかあわ)」「落泡(おちあわ)」「玉泡(たまあわ)」 と変化していきます。 高泡の時は、泡がかなり高くまで発生するためタンクに 泡笠と呼ばれる物を取り付けタンクの外にこぼれない様 にしたり、泡けしと呼ばれる装置で泡を消したりする作業 を行います。これらは高泡酵母の話で、現在は泡なし酵母 を使用する蔵がほとんどです。 泡なしだからと言って、全く泡が無い訳ではありませんよ。 (泡が立たないだけで品質的には遜色ありません。) 上記のように泡の変化はもろみの醗酵状態を確認する 大事な信号なのです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.おいしくお酒の飲める店 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  酒一筋を美味しく楽しみたい方に。 こんなお店があります。是非お立ち寄り下さい。 ▽ 「十和田」 定休日:木曜日    東京都台東区浅草1-13-4(すしや通り)       TEL:03-3841-7375    営業時間:11:30~21:30  浅草に来たら立ち寄って下さい。 江戸前の旬の天婦羅をつまみに一杯やるもよし、 そばがき、そばみそで一杯やるもよし・・・・・・ 飲んだ後は、お蕎麦でしめて下さい。 ホームページはこちら http://www.nippon-rb-kaihatsu.co.jp/towada/towaidx.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.小倉あん子の「百人一酒」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 文屋康秀・ぶんやのやすひで   吹くからに秋の草木のしをるれば     むべ山風をあらしといふらむ 《解釈》 かるた取りの上手な人には、得意札になっています。 頭の「ふ」の音を聞いただけで取れる「一文字札」6枚 の一枚だからです。 歌の意味は、「秋の風を、山と風の字を合わせて嵐」 という字になるという文字遊びと同時に秋の野分の烈 しさ、あわれさを表現している。  ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■     ふっくらと 味にふくらみある酒の       むべ うま口を甘いというらん 《解釈》 日本酒の不幸は、香味の微妙さを「甘口・辛口」 と言う直線的な言葉で分類してしまったところに あります。過去を振り返ると確かに「ベタアマ」な 酒が横行したことがありましたが、現在はそんな まがい物は通用しなくなりました。 ふっくらと甘く感じる味わいは本来おいしさが豊か なことを表しているのです。それを、化学調味料 によって舌の味蕾をだめにしてしまった現代人、 言葉の表現力を欠如した食通が「甘い」と断定 してしまっているのです。 甘口といわれる範囲にあるお酒でも、美味しい 物とそうでない物がある事をご認識下さいね。 ##########################################################  日毎に春の気配を感じる様になってきました。 2月は逃げると言いますが、本当!あっという間に過ぎ去って しまった気がします。 今月は「軽部村便り」の発行と重なったためバタバタしてしまい ましたが無事発送完了! ほっと一息です。  蔵の中は、吟醸の香りがたちこめています。いい香りですよ! 今期も終盤になってきましたが、あと残りわずか・・・がんばります!