酒一筋・醸句通信    第十八号
今回のコンテンツ   1.酒のウソホント   2.お燗酒   3.おいしくお酒の飲める店▼ 「樽一(たるいち)」おまけ付き    4.毎回楽しい「百人一酒」 ◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━ ◆  醸句通信  No.18   2003.12 ◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆  天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」の米を守り 育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと美味しくお酒を飲んで 頂くために楽しいお酒のお話をお送り致します。  このメルマガが、ほんのすこしでもあなたのお酒の楽しさに プラスになればと思っております。                         利守酒造株式会社 【櫂】 かい  櫂とは容器中(タンク)において液体 または液体と固体とを混合攪拌し均一 にするために使用するマドラーの様な 道具です。使用目的によりいろいろな 種類があります。 「蕪櫂(かぶらがい)」もっとも一般に 使用される櫂で、竹棒の先に木製の 蕪(台)を付けたものです。その他には 「棒櫂」「鬼櫂」と呼ばれる物があります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.酒のウソホント ▽ 江戸時代の居酒屋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  江戸の庶民のふところ廻りが少しばかりよくなって、「ちょいと 一杯やりたい」ときに立ち寄れる居酒屋が誕生しました。 それまでの屋台やよしず張りの水茶屋と違って、ちゃんとした 建物です。レイアウトは、土間と床間とがあります。 インテリアは土間に床几(しょうぎ)、床間は今でいう小上がりです。 それなら今の居酒屋と同じではないか、江戸の時代劇に出て くる居酒屋じゃないかと思われるでしょうが、一つ大きな違いが あります。今の居酒屋や時代劇に出てくるのはテーブルと椅子。 本物の江戸の居酒屋の土間には床几(しょうぎ)があったのです。 床几というのは、畳一畳くらいの広さの椅子というか・・・・・・ これはテーブル兼椅子です。この床几に腰を下ろし、お酒を 注文します。するとお盆に徳利、杯、おつまみ、お箸を載せて でてきます。これを床几の上に置き、飲み始めます。 飲むスタイルは、上品にやれば腰をちょいと床几に横座りに なります。行儀が悪いと片方の足をもう一方の腿に乗せる片 あぐらか、もっと悪くして床几の上にあぐらを掻きます。 床間に上がるときは履き物を脱ぎます。 ここで大事なことを見落とさないでください。 それはお酒を注文すると、塩辛めに味つけした小料理が一品 付いてくることです。庶民の飲む酒は甘い酒だったそうで、それ に合わせて塩辛い料理が出たそうです。 それでこのような形のお店を小料理屋というのです。 今でも小料理屋に入ると、注文しないのに「付き出し」といって 料理が一品出てくるのです。  時代劇の居酒屋シーンで、床几でなくテーブル椅子になった のは、我々現代人の体型が変わってしまったからでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.お燗酒  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  前に「醸句通信」の中でご紹介した事があるのですが、ご要望 のお答えしてもう一度!    お燗と一口に言っても熱燗から日向燗(ひなたかん)まで色々と  種類があります。  飛切燗(55度以上)、熱燗(50度近辺)、上燗(45度近辺)、  ぬる燗(40度近辺)、人肌燗(35度近辺)、日向燗(30度近辺)    温度計でいちいち測るわけではありませんから、人肌燗なんかは  燗をつける人によって違いますよね。  本当に美味しい燗酒のつくり方は、鍋に湯を沸かしお酒を入れた  徳利を入れ好みの燗(温度)で引き上げる。徳利も小さめな物で  飲む分だけを燗していくのがいいでしょうね・・・・・手間ですが  美味しい物を食すには手間と労力は惜しんではいけません。  最近では、飲食店さんでもお湯につけて燗を出してくれるお店が  増えてきたようです。  燗にするための美味しいお酒選びも重要なポイントです!  お燗に向く酒、向かない酒、お好みもありますから、色々と  試してみてはいかがでしょう!  本醸造のお燗もいいですが、純米もいいですよ。  「え・・・純米を」と言わず試してみてください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.おいしくお酒の飲める店 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  酒一筋を美味しく楽しみたい方に。 こんなお店があります。是非お立ち寄り下さい。 ▽ 「樽一」 定休日:日曜・祝日    東京都新宿区歌舞伎町1-17-12第1浅川ビル5F       TEL:03-3208-9772    営業時間:17:00~23:00(ラストオーダー22:00) ∵最後まで読んだ人だけ・・・∵  前回(17号)でもご紹介させて頂いた樽一さん。 先日、上京した時に樽一さんにお伺いする事があり その時に佐藤社長にメルマガで紹介させて頂いた 事を言うと、とても喜んで頂き 「メルマガを読んでご来店された方は言って ほしい!一杯サービスさせて頂くのに・・」 と言うお言葉を頂きました。 うれしいですね!・・・・・・・と言う事で このメルマガを読んで樽一(新宿店)に行かれた 方は「酒一筋のメルマガを読んできました」と 言って下さい。 何かいい事があるはすです。(先着30名様) これからの季節は、はりはり鍋(鯨鍋)をつつき ながら一杯!おいしいですよ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.小倉あん子の「百人一酒」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 藤原敏行朝臣・ふじわらのとしゆきあそん      住の江の岸に寄る波よるさへや      夢の通ひ路人目よくらむ 《解釈》  人名辞典を引くと、藤原敏行朝臣は能筆で好色と あります。だとすると、ラブレター攻めでモノにしたに 違い有りません。  女の立場で、男の訪れない嘆きを「夢でさえ人目を 憚って逢いに来てくれないのか」と恋人を恨んだ歌。 男の立場で女を恨むとする説もあります。 この人の奥さんは、美男の誇り高い藤原の業平の 義理の妹だそうです。となると、相当の美女だった でしょうね。うまく「やったー」わけですね。  ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■    住む家も 質に取られて 夜の遊び      情け通わす 人はよくいる 《解釈》 夜の巷、夜の蝶、夜の花などという言葉があるように、 夜には魔性のようなものがあるようです。  美しいものは美しく見え、そうでないものも美しく見え、 たいしたことないことが楽しく感じる。 それがいいんだという人もおられますが、住む家まで 失っては度が過ぎるというものです。 その魔性の世界に入るおまじないに「お酒」があります。 どうぞ、お酒をおいしいものとして飲んでください。 魔性の国へのオープンセサミにしないでください。 ##########################################################  蔵の中ではお酒の良い香りが立ち込め新酒が出来上がって きました。 気温も下がって、お鍋で一杯なんかいいですよね。 食べ物の旬(季節感)が良くわからなくなってきていますが、お酒 の新酒(しぼりたて)は、今が旬です。 今年は蔵にとっても沢山いい事がありりました。     ●岡山県新酒鑑評会 最優秀賞     ●但馬杜氏組合自醸酒技能審査会  知事賞(第一位)     ●全国新酒鑑評会 金賞     ●モンドセレクション国際コンクール酒類部門 ゴールドメダル     ●広島国税局清酒鑑評会 最優秀賞  五冠の栄誉に輝きました。これを励みに今期も「良い酒を 造るぞ!」とがんばっております。 今後とも応援よろしくお願い申しあげます。  「軽部村便り」も二号の編集とメルマガ「醸句通信」の発行と 重なるとつらいですね・・・・・・・ 「いつもありがとう」と言う皆さんからの声に励まされて頑張って ます。今年一年のご愛読に感謝致します。 次号は平成16年1月です。