酒一筋・醸句通信    第十五号
今回のコンテンツ   1.酒のウソホント   2.酒一筋 試験田   3.おいしくお酒の飲める店▼ 「仁左衛門(にざえもん)」    4.毎回楽しい「百人一酒」 ◆◆◆◆◆━━━━━━━━━━━━ ◆  醸句通信  No.15  2003.9 ◆━━━━━━━━━━━━━━ 酒一筋 ◆◆  天の与えたすばらしい力を内包する「赤磐雄町米」の米を守り 育て続けている「酒一筋」の蔵元からもっと美味しくお酒を飲んで 頂くために楽しいお酒のお話をお送り致します。  このメルマガが、ほんのすこしでもあなたのお酒の楽しさに プラスになればと思っております。                         利守酒造株式会社 【秋晴れ】 あきばれ  新酒は大体四月頃火入れも終わり、それ 以後、気温の上昇とともに熟成します。 新酒の時に風味が荒かった酒が秋になる と香味が整い味もまるくなって酒質が向上 してくる事を「秋晴れ」するとか「秋あがり」 といいます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.酒のウソホント ▽ 玉を利かす ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  市販されているお酒は、蔵にあるものを出荷の時に水を加え て味の調整をすることをご存じですね。現在の酒技術では 「加水」とか「割り水」と言います。  江戸時代はこの調整のことを「玉を利かす」と言いました。 「なんのためにやるのか?」 水を加えて量を増やす、これは 誰でも考える理由です。真の理由は、蔵に貯蔵されている酒は、 品質の保全のためにアルコール度が高く(原酒)してあるので、 これを飲み頃にするためです。 でも、江戸時代は別な理由があったようなのです。 その頃は、酒造技術が十分でないので、雑菌によって酸っぱ い酒になったらしいのです。これをお客に飲ませるのに、水で 割って飲みごろに調整したわけです。蔵から出荷された酒に、 流通段階で2度3度、水を加える。そうすると、アルコール分が 10%をきってきます。酸っぱくなった酒を飲めるようににすると、 今のビール程度のアルコール分になるものもあったでしょう。 お酒屋さんや料理屋さんが勝手に「玉を利かす」ことが出来る のですから、これが儲けにつながると思われるでしょうが、そう は問屋が下ろしません。この調合がまずければ、お客は離れて しまいます。そこで、この道で成功するには、優れたきき酒能力 が必要だったのです。きき酒能力は昔も今も、いいお酒をお客 様に勧めるのに必要な大事な条件なのです。 今は、酒は瓶詰めされた商品としてお店に並べられていますが、 きき酒によって良いお酒を揃え、そのおいしさをお客様に伝える ことの出来るお店のお酒がおいしいことは言うまでもありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.酒一筋 試験田 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    今年は、妙なお天気ですね。7月は曇りの日が多かったため イモチの発生が県内でも多かったようです。「赤磐雄町米」は 収穫が10月ですから8月、9月のお天気が重要になってきます。 8月は、気温も高くお天気の良い日が続いたのでまずまずの生長 をしております。まだまだ油断は出来ませんが・・・・・ 食米(飯米)は、東北関係が良くないようですが、大丈夫でしょうか。 「山田錦(兵庫)」「雄町(岡山)」などの酒造好適米は出穂時期 が遅いためたすかっていますが、大変です。 最近は、少なくなったように思いますが、食べる米と酒にする米 の産地が同じだと思っている方がまだいらっしゃるようです。 「お米がおいしいから、酒もうまい」??? 酒米は食べても美味しくは・・・・・・・。 皆さんが酒米(酒造好適米)食べる機会はなかなか無いと思い ますが・・・・・・・・機会があれば召し上がってみて下さい。 「いつも食事で食べているご飯の方が・・・美味しいかな」  10月の収穫の時期までお天気とにらめっこの日々が続きます。  試験田の様子は定期的にホームページで紹介しています。        是非、ご覧になって下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.おいしくお酒の飲める店 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  酒一筋を美味しく楽しみたい方に。 こんなお店があります。是非お立ち寄り下さい。 ▽ 「仁左衛門(にざえもん)」 定休日:なし    埼玉県さいたま市吉敷町4-61-1オクトビル1F       TEL:048-647-2080    営業時間:16:30~24:00(ラストオーダー23時)  JR埼玉県新都心駅(東口)のすぐそばにあるお店です。 お酒屋さんが経営する居酒屋さんだけあって良くぎんみ された日本酒と美味しい料理を落ち着いた雰囲気の中で 楽しめます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.小倉あん子の「百人一酒」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 光孝天皇(こうこうてんのう)      君がため春の野に出でて若菜摘む        わが衣手に雪は降りつつ 《解釈》  百人一首の中で、純情可憐でいちばんわかりやすい歌です。 ここでいう「若菜」とは、春の七草とされています。 春の野原に出て若菜摘む私の袖に降りかかる春の淡雪。 なんとこころ優しくうるわしい情景。  さて、春の七草とは、「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、 ホトケノザ、スズナ、スズシロ」です。ご存知ですよね?  ■□■平成の百人一酒に酔人詠める歌■□■     君がため、春の野に出て若菜摘む       わが左手に瓢(ひさご)下げつつ 《解釈》 まことに麗しい風景です。メンデルスゾーンの春の歌が 響いてくるようなうららかさです。菜を摘んでいるとあり ますが、どんな菜だと思いますか。私は菜の花だと思う のです。おひたしにして鰹節をかけ、こうなると醤油の香 りさえみずみずしく感じます。ほろ苦い菜の花で飲む 酒は、香り高い吟醸酒ということになるのでしょう。 ##########################################################  早いもので9月になってしまいました。お酒は美味しい季節ですが、 変なお天気が続きますよね。関東では8月なのに寒くて長袖を着て いたと言うような日もあったようです。 台風には驚きました。さすがに雨量がすごかったですね。 特に大きな被害もなくほっとしております。皆様から沢山のメール やお電話を頂き感謝しております。  今月から「利き酒会」や「展示会」が多数行われます。一般の方も ご参加頂ける会もございますので、是非ご参加下さい。 (詳細はホームページ蔵元情報でご案内致します) 皆様とお会いできる事を楽しみにしております。酒一筋のブースを 訪れる事があれば「メルマガ読んでます」と声をかけてください!