復活の米・キビヨシ|地酒に対する心意気


地酒に対する心意気

地元の米を使い、地元の水で仕込み、その気候と風土で醸(かも)す。そうしてこそ地酒は真の地酒たりうるのだ、と利守酒造は考えています。

復活の米・キビヨシ
 利守酒造の杜氏、田村豊和の思い出の中に「雄町米」ともう一つ、やや硬質でサバケの良いキレイな酒を醸す事が出来た地米がありました。それが「キビヨシ」です。
   キビヨシは昭和40年頃まで使用していた米の中で最も麹米に適した品種でしたが、いつしか栽培が途絶えてしまった米なのです(昭和40年頃の岡山では、酒造りの麹米として「朝日米」「アケボノ」等の食用米を代用していました)。
 岡山県の農業試験場に問い合わせても種子は無く、諦めかけていた時、茨城県の筑波に種子が存在することが分かり、20g程度の種子をわけて頂くことができました。 杜氏の記憶を頼りに翌年から従業員で一粒一粒手植えを行い、秋には25,000gの種子が収穫できました。柵原町(やなはら)と久米郡の農協、栽培者の方々の熱意により翌年秋には百袋を越える玄米を収穫できるまでにキビヨシは育ちました。 現在では柵原町(やなはら)の特産品になっています。
 
 たくさんの人々の努力により、キビヨシから純米吟醸「吉備よし」が生まれました。 現在、酒一筋ではキビヨシを使用して純米「酒一筋」等を醸しています。 柵原町の柵原鉱山休止坑道内では一定の温度と湿度である事を生かし純米吟醸「吉備よし」が長期熟成されています。
昭和23年、農林省明石農業改良試験所で「農林18号」を母、「東山38号」を父として人工交配、農林省中国農業試験場にて育成開始。 旧系統名は「中国6号」。昭和36年に農林登録番号「水稲農林129号」、品種名「キビヨシ」として登録。